れじぇんず10 白い鳥の思ひ出



鳥見大好きな私にも、苦手な鳥がいます;
今日は、そのとほほ話を聞いて下さいよ・・・

桟橋の攻防
 それは、私がオムツがとれたばかりの頃だったそうな(大昔じゃの)
家族で、どっかの湖に行ったんだそうじゃ。
父が大好きだった私は、手をひかれてるんるんでボート乗り場の
桟橋を歩いて行くと、親しげに白鳥さんがついてきたんじゃそうな。
父に促され、幼い私は、手に持っていた○鳩ココナッツビスケットを砕いて
”白鳥さん、ど〜じょぉ〜”って、紅葉のようなお手でまいたんだって。
(想像すると、愛らしいじゃん私♪面影ないな〜;)
2枚、3枚・・・大好きな十○ココナッツビスケットを砕いて、水面に落とす私。
最後の1枚までもまいてしまった後も、白鳥さんは”もっと欲しいわ♪”の顔。
ふと、幼い私が足元を見ると、下に落ちなかったビスケットのかけらが!
それも、あげよう♪そう思って、ビスケットのかけらに手をのばした途端!!
それまで、水面で待っていた白鳥さんは、自分の餌がとられると思ったのか
やおら、桟橋に飛び上がり、羽をいっぱいに広げ、鎌首をもたげ”ぐぎぇーーっ!”
鋭い威嚇の声をあげて、しゃがんだ私の前につつきかかった!・・・のだそうです;
私の目の前に広がったのは、真っ白で、巨大で、悪魔のような声を上げる魔物・・・
父は、挑みかかってくる白鳥を手で防ぎ、びびって声も出ない私を小脇に抱えてダッシュ!
岸に戻った二人に祖母(父の母)は、”さっき、おしっこしたばっかりで、ちびられんでよかったの♪”
・・・-_-; 確かにちびらずには済んだかもしれないけれど、”白鳥=怖い”の公式が
島帰りの焼印のように、深く刻み込まれた・・・思い出の状況は後に両親がげらげら
笑いながら話してくれたのを書いたのだけど、恐怖だけは憶えている・・・
今でも、白鳥の姿を見ると、ちょっと、ココロの底でびくっとする・・・

追いすがる魔物
こっちは、それほど大昔ではない、20年ほど前のこと。
春休みだか、試験休みだかで家にいたら、会社に行った姉から電話が来た。
”まみちゃん、ごめんね!大事な資料を机の上に忘れちゃったの。工場の門まで持ってきて”
成績優秀で、いつもそつなく何でもこなす姉のお願いに、いつも、ぼんやりしている妹は
忘れ物のキングファイルを紙袋にぶっこんで、ここぞとばかりに、急いでお届けに
ところで、姉はその頃、湘南モノレールの駅から数分の工場に勤めていたのです。
工場の周りは、民家はあまりなく、原っぱが当時広がっていました。
駅を下りると、春のお日様はぽかぽかで気持ちいい♪ちょっとお散歩気分♪
ふと後ろで、がさっと音がしたような気がする・・・なに;なんなの?足音?付いてきてる!?
恐る恐る、そぉっと、振り返って見る・・・そこに見たものは!でかくて、とさかが真っ赤で
巨大な黄色い足に、鋭い蹴爪がついた雄鶏が、まさにこっちに向かってダッシュをかける姿だったのです!
どどどどどどどっ!!えっ?えっ?なに???
ひるむ私に、砂埃を舞い上げて突進してくる雄鶏!!私、何もしてないよね???
踏み切って、足から蹴りつけてくる雄鶏!!ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!
ほんのわずかの差で蹴られないですんだけど、次の攻撃の体勢に入ってる雄鶏!!
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!全力で工場に向かって駆け出す私。
猛然と追いすがる雄鶏!!涙が出てきたけど、かまってられないで転げる様に走る私
やっと、工場の守衛所が見えてきて、中にいた守衛さんが追っ払ってくれた。はーはーはー
守衛所まで、忘れ物を受け取りに来ていた姉は、申し訳なさそうに
”ごめんね;ごめんね;この辺に野良の鶏がいて、何人かが追っかけられたって言うけど
まさかまみちゃんが、こんな目に遭うなんて、ごめんね〜〜(涙)”

きっと、夜店で鳴いているひよこにくらっとキて、買ったものの、でかくて凶暴になって
手に余るようになって捨てたヤツがいるんだ・・・まんが”動物のお医者さん”にも
出てきたよ、こんなのが・・・とにかく、この日から、私は生きたにわとりがオソロシいのです;
白鳥の恐怖は霧の中のようだけど、にわとりの恐怖はナマナマしく張り付いている・・・
ハナさんと、鳥見に行った時(吐いた時じゃないぞ)、歩き回るにわとりを見ておののいてたけど、
あの時、背中の毛穴が全部開き、やぁ〜な脂汗が出ていたんです。ホントに;
恐怖が甦り貧血寸前でした。マヂで;
こんな私に鳥見って・・・矛盾してるかもしんない・・・

最近、湘南モノレールに乗る機会がありました。姉の勤めていた工場の周りも
開かれ、野鶏が潜むブッシュはなくなっていました。
”これなら、○菱電機の人たちも、もう鶏に追われて、蹴られることはないんだな”って
安堵している自分がちょっと悲しかった・・・;


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狐茶屋